浅草橋探検(1)(by 大澤幸生)

皆さん、大澤です。
大澤が、今回の浅草橋探検について書いた
ブログを、二通り公開します。まず、この(1)は、
非都合表現つまり、ひたすら自分の情感を込めて
高架下への思いを写真を見ながら書く、これまでと
同じ方法です(Sevenなどは、大澤メモでの写真の番号)。

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今思えば、浅草橋に求めていたのは、
普段行かないところでいつもの喧騒とは別の音や空気に触れ、
本当の自分が今、どこに向かおうとしているのかを自覚する
ことだった気がする。

100枚近い写真を撮ったが、そのうち、ブレの少ない
ものを追ってゆこう。

Twelve) ああ、この感じは良い。
Twelve)玄関口に雑然と放置された自転車が、日常生活の温度で抵抗なく客を迎え入れようとする、優しさを思わせる。
Twelve)入っていないが、話しやすいオヤジかオバちゃんか
おにーさんがいるのではないかと勝手に想像する。
Twelve)入りたいのだが、
長居してしまいそうな予感がしてやめておく。
Twelve)集合時間が気になるので。


Fifteen) 道すがら、水晶やアメジスト、メノウなどの鉱石店が
多いことに気付く。
Fifteen) ネックレス類は、100円から1000円の
間でバラエティを見せ、店外に吊られている。
Fifteen) 店員にも客にも
若く美しい女性が多いような気がしたのはこちらの気分だろうか。


Ten,Eleven) おお!っと、急に隅田川の屋形舟の看板。白い明かりが、
不思議に暖かく見える。
Ten,Eleven)ここから屋形舟に
乗りこむのかどうかも知らないのだが、ビルの間に屋形舟の店先の
看板が見えるのは、新鮮で心の弾む思いがする。
Ten,Eleven) 近づくと、
川沿いに屋形舟業者の明かりが軒を並べている。
Ten,Eleven) ビルの中にいる
ビジネスマンやマンションの住民に、別世界への逃避行を誘うかの
ように見える。
Ten,Eleven) 今からここに立ち寄るのは・・・ 予約がいるかな?



Nine) 浅草橋は、道の角の使い方が印象的な感じがする。
Nine) よく「カドヤ」
と名がつく位置で、このように橙色の明かりが見える。この明かり、
やはり白熱電灯だろう。
Nine)どうしても、LEDがこれに替るような気が
しない。できるものならやってみろと啖呵を切っておこう。
Nine) この
立ち飲み屋、立ち飲み屋だがチョットだけ寄るというには勿体ない
重厚さを感じる。
Nine) 集合時間までの10分で寄るのはやめておこう。


Thirteen)角が魅力だと思っていたが、こういう、突きあたりの
パラダイスという様相の食いもの屋も良い感じ。
Thirteen)適役は、
蕎麦屋か寿司屋だろう。
Thirteen)これがもしバーベキューだったりすると、ちょっとまた別の、つまり空腹で突撃

する対象になる。
Thirteen)この日本の美しい夜に、自分は1人(2人でも良いだろうが)
悩む頭の中を風に流しつつ、蕎麦屋に入って盛ソバを食する
のが、この突きあたりの風情だろう。


Seven) 線路というのは両側でがらりと雰囲気が変わることが多いのに、
この浅草橋では比較的線路の南と北で連続感がある。
Seven) だから、こうして
隙間ごしに反対側を見ても、遠い世界という感じはそれほどしない。
Seven) それでも、心の癖があって、反対側にこうして居酒屋の明かりが
見えると、その距離感が憧れをそそってくれる。
Seven) もっと距離感
がある街だと、現世から天国を見ているような気分かも知れないが、
どちらが良いかはよく分からん。


Forteen) 角とか突きあたりと言ったが、やはり距離感かなと思い始める。
店と店、明かりと明かりの距離が、池袋や新宿のような繁華街とは
Forteen) 違って長く空いているのが浅草橋の風情を醸し出している。
Forteen) この結果、自分と店の距離も憧れに正の作用をなし、店と店の距離は
「この店しかないかも」と運命的な出会いを感じさせる。


Eight) 町の上を、駅の通路が通る。
Eight) この、異種類の行動が馴れ馴れしく寄りそう感じが、
ぬるま湯につかるようなゾクゾクした不思議な面白さを
感じさせる。


Six) 線路沿いから1〜2本横に入った通りに、
アートギャラリーがあった。
Six) 何のギャラリーかは見ていないが、
風呂上がりの様なくつろいだ表情で、訪れた客とギャラリーの
女性が会話しているのが見えた。


Four) あと数分で集合時間で急いで歩いているのに、
この締まっている占い店の、アヤしげな位置には惹きつけられた。
Four) だからどうということは無いのだが、浅草橋の奥深さを
暗示している。
Four) 右手の階段を上がってゆきたい衝動だけは、
かろうじて抑えて集合場所に向かった。



この町の良さは、
悪いところとして最初、池袋等と深くしたら
店の頻度の少ないことや何となく寂しい感じを
挙げていたが、今ではこれらは長所に感じられる。

もしこの町が再開発され、高架下の部分が
もっと派手な商店街や洗練された文化施設
替られたとしたら、ビジネスマン(多くないかも
知れないが)は心の洗濯場を失い、花のお江戸は
週初めの経済活性を損うだろう。