「東北地方太平洋沖地震」の連動地震の震源についての可視化

皆様


このたび、東北地方を中心として、大地震によって亡くなられた皆様に深くお悔やみ申し上げます。ご遺族の皆様に、深く、お見舞い申し上げます。悲しみを表現する言葉が見つからず、このようにお見舞い申し上げることが帰ってご遺族を傷つけるのではないかとさえ心配してしまいますが、言葉足らず申し訳なく、自分の非力を悲しく思います。

また現在、被災され心身ともに極限を超える辛い思いをされている皆様に、心からお見舞い申し上げます。


一方で、いますぐに私がしておきたいこととして、関東在住の皆様にも、是非十分な注意を頂きたいと考えております。その理由を以下に申し述べます。

なお、皆様に過剰な反応を与えないように表現を選びましたが、「パニックを招く情報を出すな」という主張に私は同意できません。私自身に近しい多くの人々が阪神淡路大震災で被災した経験からすれば、事前の情報は、正しく文脈を伝える努力を払う限り、提供されるべきだと信じています。


今回、オリジナルというよりいまもって「我流」と言われることもあるデータ可視化手法(キーグラフとその拡張)で、今回の地震活動についてある仮説を持つに至りました。

(1)ひとつめの可視化方法は、11日16:00〜13日15:30の地震を3つの時間帯に分け、順に震源時系列を可視化して重ねたものです。次の図の、上からFig.1, Fig.2, Fig.3は順番に震央地点間の共起関係(連続した時間に地震を起こした関係)を可視化したもので、順に見ると紙芝居のように、動いた部分だけが連側的に、見慣れれば直感的に分かるようになっています。


Fig.1: ↑3月11日大地震の後〜深夜ごろ


Fig.2: ↑3月12日ごろ


Fig.3: ↑3月13日ごろ


特に私は赤い丸に注目し、

・徐々に東北以外の、新潟県中越と関東を結ぶ塊が位置づけを高めている(Fig.2, Fig.3右側)
・Fig.3では東京湾三重県南東沖が重要な連結点を占めるようになっている

点を懸念しています。このような赤い点あらわされる結節は、これまでにも
・1992年までのデータに対しては野島断層
・2003年のデータに対しては新潟中越と福島会津
などを表したものであり、その原理は、「頻度の高い地震共起地域の塊を、複数個結ぶ点はいくつかの活動の接点で圧力を受けているだろう」という仮説に基づいています。つまり、上記について
・首都圏直下型の震源と、
・東海・南海地震について想定される震源
に対する圧力が高まっていると解釈されます。

(2)上の図からは分かりませんが、さらにデータ結晶化によって、データに直接現れない潜在的な断層構造の動きを示唆する結果が次のFig.4です。


Fig.4 ↑3月11日16時ごろ〜12日15時ごろまで


データ時区間は(1)より少し前で、これは12日の15時の時点までに得た図ですが、当時少しずつ頻度が上がっていた千葉県東方沖などの関東地方と、大地震震源となった新潟県中越、長野県北部の間にその潜在構造を示す10, 11, 16, 21という、番号だけの赤ノードがみられます。これが、フォッサマグナ東縁の断層系と一致している可能性が否定できません。


これらの結果と、平成23年3月13日地震調査研究推進本部地震調査委員会の、
http://www.jishin.go.jp/main/chousa/11mar_sanriku-oki2/index.htm
この報告書にある「*変動ベクトル図(水平)」を見ると、東京あたりに捻じれるような力が加わっているように見えるほか、今回の添付のキーグラフで赤ノードに出ている地点に歪む力が加わっているように見えます。ただし、この図については原点の位置にも注意が必要であり、応力分布図が公開されるまでに解釈を試みる時期尚早かも知れません。


・・・以上はあくまでも地震学を専門としない者の結果と見解です。
この結果が直接大地震を予知あるいは予測するものではありませんので、全く冷静にとらえて頂ければ幸いです。少なくとも、関東ご在住の皆様には、今一度防災の指針を見直して頂ければ幸いです。


大澤幸生